コーチングの基本スキルは、「傾聴」「承認」「質問」だと言われています。

私がこれまで5年以上、コーチとして活動してクライアントに関わらせていただいてきた経験から、感じていることは、「傾聴」こそが基本中の基本だと言うことです。

過去にビシッと決まった!と言う感覚があったコーチングを振り返ると、「傾聴以外やっていない」といったパターンが多いことに気づきました。

もちろん、「そんなことない!一番大切なのは質問だ!」と言う人もいるでしょう。

私も質問力が高ければ、クライアント様の問題解決スピードが高まるので、質問も大切だとは思っています。

不要だとは思いませんが、「傾聴ができなければ、何も始まらない」のです。

そこで、この記事では、傾聴の技法と私が行なって成果を出してきたスキルアップ法についてお伝えしていきます。

これを実践すると、クライアント様により良い変化を与えることができるようになり、コーチとしてワンランクアップに繋がると確信しております。

1:傾聴とは?

まずは、基本的な部分を改めて明確にしていきます。

「傾聴」とは、カウンセリングやコーチングにおけるコミュニケーションスキルの一つです。人の話をただ聞くのではなく、注意を払って、より深く、丁寧に耳を傾けること。自分の訊きたいことを訊くのではなく、相手が話したいこと、伝えたいことを、受容的・共感的な態度で真摯に“聴く”行為や技法を指します。それによって相手への理解を深めると同時に、相手も自分自身に対する理解を深め、納得のいく判断や結論に到達できるようサポートするのが傾聴のねらいです。あらためて傾聴とは、相手の話をただ聞くことだけではなく、積極的に相手に興味を持って、相手が思っていること、感じていることまで注意深く耳を傾けることです。

〜引用元:コトバンク(傾聴)

「きく」という言葉は、「聞く」「訊く」「聴く」の3種類あると言われています。

この違いを、明確にしておきましょう。

意識せずに何となく聞く

最も一般的に使われる「聞く」は、意識せずに何となく聞くことを意味しています。

この場合、自分にとって関心のあることは耳に入りますが、興味のないことに関しては耳には入るけど聞いていないこともある状態です。

例えば、テレビをつけながら他の作業をしていると、音や声は耳に入りますが、ほとんどの場合は意識することはないはずです。

しかし、あなたの興味のある話題や好きな曲などが聞こえてくれば、一旦手を止め、テレビに目を移しより耳を傾けたくなるでしょう。

尋ねる場合に使う訊く

先日、刑事ドラマを見ていると、取調室で「3日の夜中2時にどこにいた?」「それを証明できる人はいるか?」「なぜそこにあなたの髪の毛が落ちていたんだ?」と訊問(尋問)するシーンがありました。

訊問(尋問)という漢字を見るとわかるように「訊く」という文字が使われています。

この「訊く」は、何かを尋ねる場合などに使います。

言葉だけではなく、相手のしぐさや表情から聴く

そして、本題の「聴く」は意識して、相手の言葉を耳だけではなく、感じ取ろうとすることを意味しています。

言葉だけではなく、相手のしぐさや表情を読み取り、心で「聴く」ということです。

例えば、仕事で重大なミスをした部下から「また気持ちを改めて頑張ります」という言葉を、あなたは聞いたとします。

そのとき、言葉だけを聞くと「今回のことを反省して新たな決意をしてくれた」と思うかもしれません。

しかし、もしこの言葉を暗い表情、もしくは、ニヤニヤして言ったとしたらどうでしょう。

不安を抱えているのかも?とか、全然反省していない!と思うかもしれません。

言葉と同時に、相手の表情やしぐさ、声のトーンや大きさなどにも注意を向けて聴くことが傾聴のポイントです。

よく観察する聴き方が傾聴なのです。

もちろん、この聴き方は「相手を理解しよう」「相手の気持ちに寄り添おう」という姿勢がないとできません。

傾聴スキルを使ってのカウンセリング療法

アメリカの臨床心理学者のカール・ロジャーズは、来談者中心療法を創始しました。

来談者中心療法では、カウンセラー側の知識の量や権威は不必要とされ、それよりも、カウンセラーの態度、すなわち、無条件の肯定的関心、共感的理解、自己一致をどう実現するかが重視される。

〜 引用元:wikipedia 来談者中心療法 〜

これがコーチングの元だとも言われています。

2:傾聴することで得られる3つのメリット

それでは、傾聴することで、どのようなメリットがあるのでしょうか?

メリット1:信頼関係が構築される

傾聴することで、お互いに親しみを感じることができます。

人は自分の話を真剣に誠意を持って聴いてくれる人に好意を抱きます。

これが信頼を作ります。

信頼関係が増すと、より円滑にコミュニケーションを取ることができるので、人間関係が良好になります。

メリット2:様々な気づきを得られる

傾聴することは、相手の気持ちや考えなどを理解することができるようになります。

そのため、自分の経験からの学びだけではなく、相手の経験からも学ぶこともできるので、自分の世界観が広がります。

それによって、人間性が豊かになります。

メリット3:自分の本心や思いに気づく

傾聴することで、自分についての理解が深まります。

自分の気持ちに素直になったり、自分の本当の課題に気づいたりします。

傾聴したり、されたりすることで自分でも気づかなかった自分の本心や思いに気づくことは、決して少ないことではありません。

 

3:コーチングでの傾聴テクニック

傾聴で最も大切なことは、相手をありのまま受け入れ、尊重し気持ちに寄り添うことです。

この気持ちを持っていることが第一です。

とはいえ、はじめの段階では、少しのテクニックを活用することが傾聴するきっかけになったりします。

また、自然な形で傾聴することで相手は身構えないので、より本音を聴きだすきっかけにもなります。

そこで、私が実際に行い、効果のある6つのテクニックをご紹介します。

傾聴テクニック1:うなずき

私は小学1年の時に引越しをして転校しました。

投稿した初日にクラスで挨拶をするように言われたのですが、初めての人たちの前で凄く緊張していました。

しかし、そのクラスのみんなは、私の自己紹介をうなづきながら聞いてくださり、凄く安心したのを思い出します。

そして、それがきっかけとなり、すぐに新しい学校、新しいクラスになれ楽しい学校生活でした。

このように、うなづきは「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」と無言で伝える行為です。

そして、それは強烈です。

相手がうなずきながら話を聞いてくれると、話しやすくなります。

反対に無反応だと30秒という時間すら長く感じてしまいます。

人を話しやすい状況にするためにもうなずきが大切なのです。

傾聴テクニック2:あいづち

あいづちもうなずきと同じで、「あなたの話をちゃんと聴いていますよ」と相手に伝える無言のメッセージです。

特に一対一で話をしている時にあいづちが少ないと「この人、私の話ちゃんと聴いてくれているのかなぁ…」「理解してくれているのかなぁ…」と不安な気持ちにさせてしまいます。

そんな状態が続くと、コーチングどころではなく、不信感を与えます。

「この人に話しても意味ない」と心を閉ざしてしまいます。

ただし、適当なあいづちをすればいい、ということではありません。

話の内容も聴かないで適当なあいづちをすると、相手は馬鹿にされているように感じます。

だからこそ、相手をありのまま受け入れ、尊重し気持ちに寄り添うことが第一なのです。

この気持ちがあってこそ、テクニックが効果を発揮しているのです。

傾聴テクニック3:アイコンタクト

簡単なことのようで難しいのがアイコンタクトです。

アイコンタクトは、ジッと相手の目を見て話を聴くことではありません。

見つめられると話しにくいという人もいます。

見つめるのが苦手だという人もいます。

私の場合は、顔を見ることすら苦手なので、普段はネクタイの結び目あたりを見ています。

ただし、それでは相手から目が合っていないと気づかれてしまいますので、あいづちを打つ時に目を見るようにしています。

目が全く合わないと、「この人、わたしの話を聴いているのかな?」と不安を与えてしまいます。

反対に目が合いすぎると、話しづらい環境にしてしまいます。

なので、程よくがベストだと感じています。

これは、相手によって変わってくるので、どんなタイプの人なのかを、しっかりと見極めることです。

傾聴テクニック4:繰り返し(おうむ返し)

相手の話の中で出てきたキーワードや要点をくり返し同じ言葉を使い伝えることをおうむ返しと言います。

話の中で何度も繰り返し話されている点やキーワードなどは相手にとって大切な気持ちを表した言葉です。

そのため、そのままくり返して伝えます。

ここで大切なことは「そのまま繰り返す」ということです。

私の知り合いが、こんな話をしてくれました。

小学5年生の子供がテストで95点だったそうです。

子供は、お母さんに「昨日のテスト95点だった」と言ったそうです。

そこでお母さんは、「そうだったの!惜しかったね!次100点取れるように頑張ろうね!」と言ったら、子供が急に不機嫌になったそうです。

その日の夜、今度はお父さんに「昨日のテスト95点だった」と同じように報告しました。

コーチングを学んでいたお父さんは、「95点だったのか」とだけ伝えました。

すると、子供は、話を続けました。

「そう、95点だったの!前のテストは70点だったし、今回90点以上は私だけだったんだよ!」

すると、お父さんは、「前のテストが70点で、今回は95点。しかも90点以上はカナ(子供の名前)だけかぁ」とここでもおうむ返しを繰り返しました。

すると、子供は、「そう!すごく頑張ったんだよ!次は100点取れるように頑張るね!」と自発的に目標を決めました。

お父さんは、ようやくここで「おぉ!凄いじゃないか!頑張ったな!次も頑張れ応援してるぞ!」と子供の頭を撫でながら言いました。

相手の本心がわからない内に勝手な判断で言葉を発すると、悪気がなくても相手を傷つけてしまう可能性があります。

上記の例では、勿論、お母さんに悪気はないのですが、結果的に子供を傷つけてしまう結果になりました。

一方、お父さんは、子供がどんな気持ちで95点だと言っているのか勝手な自己判断をすることなく、おうむ返ししただけで、子供の方からどんな気持ちなのかを話してくれました。

このように、おうむ返しによって相手の本心を聴くことができます。

また、自分で次の目標を設定することにつながります。

傾聴は、相手の感情を自己判断してはいけません。

相手の言葉と態度などでギャップを感じたとしても、自己判断するのではなく、おうむ返しを使い、そのギャップを埋めるように心がけましょう。

傾聴テクニック5:要約

例えば、長時間のコーチングで、一度に相手の話を最後まで聴くのではなく、所々で、相手の話を要約することで話をしている相手も、傾聴しているあなたにとっても整理することができます。

ポイントは、傾聴する側が、相手が伝えたい話の要点を整理し伝えることです。

当然、要点を整理するために中途半端ではなく、しっかりと傾聴する必要があります。

傾聴テクニック6:沈黙

こちらの質問に対して相手が何も話してくれない沈黙が起きてしまう場合があります。

この沈黙が続くと、我慢できずに話し始めてしまう人も多いでしょう。

しかし、あなたの傾聴がうまくいっている時に起きる沈黙は、相手が深く考えています。

自分の過去の体験などを探って必死になって整理をしたり、答えを探しています。

その時、沈黙を破ってはいけません。

じっと待つべきです。

相手の表情や体の動き、呼吸などに注意を向けながら相手の様子を観察してみてください。

その様子から混乱しているようだったら、もっと簡単に答えられる質問をし直すことです。

また、もしかしたら、あなたのことを警戒しているのかもしれません。

そんな時は、傾聴がうまく言っていない可能性が高いので、焦らずにじっくり信頼関係を構築することを始めることです。

4:傾聴スキルアップ法

コーチングは、相手の能力を最大限に引き出し、目標を達成したり自己実現に向かわせたりするコミュニケーションの手法です。

「すべての答えは相手の中にある」という前提で対話をおこなっていきます。

その基本中の基本が傾聴です。

この傾聴スキルをアップさせることができれば自然とコーチングスキルがアップして、クライアント様の問題解決に役立てることができるようになります。

 

傾聴スキルを高めるためには、経験を積むことが一番です。

とは言っても、コーチングの時だけ傾聴を意識していては、クライアント様を実験台にすることになってしまいますので、あまり良い方法とは言えません。

勿論、実戦から学ぶことは何よりも多くあるのですが、それは結果です。

そこで、普段から傾聴を意識しコミュニケーションを図ることが重要となります。

まずは、身近な人の話を傾聴することから始めます。

家族や友達との普段の会話の中でも、こちらが話すのではなく永遠に話を傾聴してみます。

普通は、話していると会話の主導権を握れているような気持ちになりますが、傾聴がうまくいくと、傾聴している側が主導権を握れている感覚が持てる上に相手にも満足感を与えることができます。

傾聴をしてストレスを感じるのであれば、まだまだ傾聴ができていないということだと思って間違いありません。

また、できることであれば、感想を聞いてみると良いです。

話していてどう感じたか?など簡単なことで良いでのフィードバックしてもらい、次に繋げましょう。

これを繰り返し行うことで、自然と傾聴スキルを高めていくことができるようになります。

また、それだけではなく、あなたと家族や友人との関係性も当然良くなっていきます。